多くの学生が企業から引く手数多といわれています。企業側としても有望で優秀な社員を獲得したいと、躍起になってさまざまなプランを打ち出しているようです。学生が新しく就職先を決めた時に誓約書という意味で提出されるのが内定承諾書。
内定承諾書を提出することで、「貴社に入社したい」という意志を公的に示すことができます。内定承諾書について、書き方、辞退の仕方などを解説していきます。内定承諾書を提出したいと考えている方は参考にしてください。
内定承諾書は、内定通知書を企業側が就職希望者に送る際に同封される書類になります。内定承諾書を受け取った就職希望者は、内容を確認した後、署名および捺印し、企業へ返送するのです。
「入社承諾書・入社誓約書」などと呼ばれているように、企業に入社することの誓約書のような役割をもっている書類になります。内定承諾書を提出してもらうことで、企業も正式にその内定者を社員にする準備をスタートさせることから、かなり重要な書類という位置づけて作成することが求められます。
学生の頃は、まだこういった書類の重要性がわかっていない場合が多く、気軽な気持ちで内定承諾書を提出し、その後辞退するようなことがあるとトラブルに発展します。内定承諾書は重要なものと捉え、しっかりと考えて行動することをおすすめします。
内定承諾書は、企業が就職希望者に対して交付する書類であり、就職希望者は署名捺印の上、企業に返送する書類です。企業が就職希望者に対して内定承諾書を発行するのには、意味があります。内定承諾書を発行する企業側の2つの目的を紹介します。
一つは内定の証明です。企業が就職希望者に対して、「内定を出しました」という証明をするために用いられる書類になります。企業側が内定を出しているのか出していないのかをはっきりさせることは、企業にとっても就職希望者にとっても非常に重要な問題です。
二つ目の意味は、内定辞退の抑止です。当たり前の話ですが、企業側としたら優秀な人材であればあるほど、必ず入社してほしいと考えます。しかし、あくまでも内定は、内定であり、法的な拘束力があるわけではありません。そこで内定通知書を出した後の内定辞退を避けるために入社の念押しするといった意味合いのもと、内定承諾書を発行するのです。
前述でも触れているように、企業が就職希望者に内定承諾書を発行をするなどして入社を促すようにするのは、理由があります。この章では、企業が就職希望者に対して、どうして入社を促すようにするのか、その理由を内定者数の問題と経営的コストの面について紹介します。
会社運営に必要な内定者数を確保するためです。内定者として選んだ就職希望者に内定を辞退された場合に内定予定数が足りなくなってしまいます。企業の採用する人数は会社で必要とする人数を計算しているので、内定辞退によって採用する人数が減少するのは企業にとって非常に悩ましい問題なのです。
企業が就職希望者を採用するコストが莫大にかかるということです。ここで企業が就職希望者に内定を出すまで、の流れをご紹介します。
1.説明会の開催
2.リクルーターの実施
3.求人情報公開
4.面接や適性検査の実施
このように会場費用など様々なコストがかかります。内定を出すまでの採用コストは企業にとって大きな負担となっており、内定通知書を受けた就職希望者に内定を辞退されては予算に見合った採用活動が出来なかったということになってしまいます。
内定承諾書は、企業によってはテンプレートを送付してくれ、自分の名前を書くだけというパターンもあります。自分で作成することを求められることもあるため、書き方や例文を知っておくと便利でしょう。
内定承諾書の冒頭は「私は、貴社の採用内定通知書を正式に受領いたしました。」という文章で始めましょう。この時、正式に受け取っているということをしっかりと記載してください。
「入社取り消しなどの貴社へご迷惑をかけないこと」というように入社辞退をする思いはない、そして「貴社へ就職することを承諾いたします」ということを書きましょう。
基本的に、内定承諾書を作成する際は前述した内容でよいですが、会社側に内定を取り消されても問題はない、という旨も添えると丁寧に感じられるでしょう。
卒業できなかった場合、採用にあたり提出した書類に虚偽が会った場合、犯罪を犯して貴社の社員として不適切な人間である場合など、会社側に迷惑がかかり著しく損失を与える人物と判断した時は、要者なく内定を取り消してもらってよいという内容です。
貴社で働きたい、という意志をしっかりと伝えられるような内容になっていれば問題はありません。
内定承諾書を提出する際、添え状をつけることがマナーとされています。添え状とは、同封した書類は何枚だったかを明らかにするもので、そこに時候の挨拶を付け加えた書類のことです。内定承諾書の添え状の例文を紹介していきましょう。
内定承諾書の例文はテンプレートなども用意されていますが、必須項目を忘れずに記載すれば問題ありませんのでワードやエクセルで自作してもいいでしょう。
内定承諾書の添え状に入れる項目としては、日付に宛名、差出人情報、頭語・結語を埋めていきましょう。本文を記した後に送付書類の内容・部数を記載してください。ワードなどで作成する場合は、左上側に人事部採用担当者の名前、右上に日付、そしてその下に自分の住所やメール、電話番号、氏名を記します。
本文としては、拝啓と書き出してから、○○の候、貴社におかれてがますますご清栄のこととお慶び申し上げます、という挨拶からはじめます。その後は、採用内定通知を受け取った喜び、そして精進していく所存などを明記すれば問題ありません。
添え状は、送付書類の内容・部数を記載しているので締めの文章は「ご査収のほどよろしくお願いいたします」という文言で締めるようにしてください。
内定通知書が届き、内定承諾書を返送する際に返送用の封筒が入っていなければまずは内定承諾書を入れる封筒を用意しましょう。封筒は、内定通知書が送られてきた状態のまま返送できる大きさを選ぶのが通常です。
内定承諾書が折り目のない状態で届いた場合は、A4サイズの用紙が折らずに入る封筒の「角型2号」を、三つ折りで折られて届いた場合は封筒の「長形3号」を用意すると良いでしょう。ここで重要なのが、封筒の色は白を選びましょう。
茶色の封筒でも間違いではありませんが、茶色の封筒は事務的な書類を郵送する際に使用することが一般的な認識ですので、白い封筒の方が、内定承諾書のような性質の書類を送るにはふさわしいといえます。
封筒の表面と裏面に宛名や住所を記入する際の注意するポイントをご紹介します。基本的に封筒は縦書き・横書きのどちらでも問題ありません。書く際は文字が読みやすいように、黒の油性サインペンを使うと良いでしょう。
封筒の表面の書き方をご紹介します。住所は、都道府県名やビル名を省略せずに、全て正しく書くようにしましょう。宛名に関しても(株)と省略することなく、正式名称で会社名を書くことが重要です。
スムーズに担当者のもとに届くように部署名や担当者名がわかっている場合は、詳しく明記しましょう。返信用の封筒が用意されている場合は、すでに封筒に印字されているでしょう。その場合には、人事課「行」と印字されている場合が多いので、二十線で「行」を消して「様」に書き換えるのを忘れないようにしましょう。
裏面は表面と違い、基本的に縦書きが一般的です。いつ送ったかがわかるように、左上に送った日付を書きます。左下に自分の名前と住所、郵便番号を書きます。表面と同様に、都道府県名や建物名を省略せずに正式に書くようにしましょう。封筒をのり付けして、「×」ではなく、「〆」と書きます。
切手は封筒の左上に貼りましょう。程よい太さの赤いマジックペンで「内定承諾書在中」と書き、定規で四角く囲みましょう。書く場所は、縦書きなら左下で横書きなら右下です。
内定承諾書を返送する際は、原則として書類を折ることはせずに、クリアファイルに入れて返送するようにします。三つ折りで届いた場合は、そのまま三つ折りで返送するようにしましょう。
書類の順番は、上から添え状(送付状)→内定承諾書→その他の書類となるように封筒に入れます。
内定承諾書を送る準備ができましたら配送中になんらかのトラブルがあっても期日内にちゃんと届くように、日数に余裕を持って送るようにしましょう。郵送方法は普通郵便で大丈夫ですが、返送の期日が迫っていて、時間がない場合は速達で送りましょう。
インターネット上で内定承諾書の返送方法は「普通郵便・書留・速達」のどれにすべきかで意見が分かれていますが、実際の企業の人事担当者からは、内定承諾書の提出期限までに確実に届けば問題ないので、どれでも良いようです。ほとんどの場合は、普通郵便で届くようです。返送手段は決まってはいなく、1番重要なことは、提出期限を守ることが重要なようです。
内定承諾書を提出し、相手企業がそれを受け取ってからさまざまな準備がスタートします。気分で内定辞退をしたり、連絡をせずに入社しない…という態度を取ると大きなトラブルに発展してしまいます。
正式に対処することで内定承諾書は辞退できることがあるので覚えておきましょう。内定承諾書に法的な厳しい拘束力はありません。事情があり、その企業にどうしても入社できないという事態が発生したとしても、企業側は内定者に損害賠償などを求めることはできないとされています。
推薦してくれた教授や企業側への迷惑、同じ業界に転職したりする場合は足枷となる可能性がかなり高いと考えられます。入社時期をずらしてもらうなど、最善の対策を立ててから内定承諾書の辞退を選択しなければならないでしょう。
内定承諾書は、社会人としてのマナーとして知られている書類です。特に個人的な見解で記載するのではなく、テンプレートなどを上手に使って正しい内容で提出した方が好印象でしょう。今記事を参考に内定承諾書を作ってみてはいかがでしょうか。