自社へ出向者が勤務した際に、作成される書類の一つが出向請求書です。出向請求書は、出向元へ提出する書類で、個人営業の会社では、あまり作成される事のない書類ですが大手企業やいくつか店舗を持っている会社などは作成する機会もあり、特に経理担当者や書類作成担当者が知っておきたい書類です。
出向請求書について、使い方や作り方についてご紹介いたしますので是非参考にしてください。
出向請求書とは、社員が出向先へ就業した場合に、出向先が出向元へ賃金の請求をする際に使われる書類です。
出向者の賃金について、どちらが負担すべきという事は最終的に双方の会社での話し合いで決定されます。原則、出向先が負担するべきと考えられています。出向元が出向者の賃金を負担する場合には、出向元より出向先の賃金が少ない場合、差額分を出向元が負担すべきとされています。
一般的な流れは
というように、出向元が本人へ支払うのではなく、一旦出向先へ支払うという流れの会社がほとんどです。
各負担費用については、出向が決まった時点で話し合う必要があります。出向が多い会社については、あらかじめ負担費用の規定を作成しておくと後の契約がスムーズに行う事ができます。
勝手な判断はせず必ず話し合いで決定するようにしましょう。話し合いで決定した事項につきましては、契約書などを作成し双方で保管しておくことをおすすめします。
出向元が賃金の負担をする場合は社会保険・雇用保険などは出向元へ請求する事ができます。話し合いもせず急に請求してしまうとトラブルとなってしまいますので、事前に保険料について話し合う必要があります。
※労災保険について
労災保険につきましては、出向先が保険を適用する必要があるので労災保険の支払いは出向先で負担しましょう。
出向者の転居費用の負担について、どちらですべきという決まりはございません。出向者の出向目的や事情などから、どちらが負担するべきなのかを判断する必要があります。
※転居費用負担例
出向請求書のひな形は法的にも特に決まりはございません。ここでは、一般的に使用されている項目をご紹介いたします。会社で決められている項目がある場合は、それに従いましょう。
表題は、特に指定がない限り、何の書類か一目見て把握できるように【出向請求書】とするのが望ましいです。
出向元と出向先の会社名と氏名を記載しましょう。
出向社員名をフルネームで記載しましょう。役職がある場合は役職の記載もしておきましょう。
など、賃金の内訳を詳しく記載しましょう。
時給換算の場合、賃金内訳に時給と1ヶ月の労働時間と残業時間などの時間も記載しておくと、より丁寧な請求書となります。
銀行名・支店名・口座番号【普通・当座】・口座名義人【カタカナ】を記載しておくと、より丁寧な請求書となります。請求書にスペースがある場合は、記載しておくことをおすすめします。
【質問】給与負担金の経理処理の消費税や勘定項目は?
【答え】給与負担金は、通常の給与と同じ扱いとされる為、消費税がかからない「課税対象外」となります。
受け取る会社も支払う会社も同じです。勘定科目につきましては、特に決まりはありませんが、支払手数料とする方が、分かりやすくなります。
【質問】出向者の給与支払いについて自社と出向先とそれぞれ一部の支払いを要求されたのですが、それは可能なのでしょうか?
【答え】可能です。出向者の給与支払いには
の3つの方法があります。
出向者が出向を拒否した場合、会社はどのような対応をすればいいのでしょうか?
就業規則へ出向について、「出向を命じる事ができる」内容を記載し、同意していたとしても出向先での労働条件や、各種手当、給与についてなど、出向について明確に書かれていない場合は、会社から出向を命じられても、従業員は拒否する事が可能となり、会社側も強制的に命じる事はできません。
出向の可能性がある場合は、あらかじめ就業規則に出向について、明確に記載しておくことをおすすめします。
労働条件や、各種手当・給与についてなど、具体的な内容の記載がある場合は、従業員は出向の命令を拒否する事ができません。
出向理由によっては、権利の濫用と判断され無効となる場合があります。出向者が不利となりえる理由での出向はNGですので気を付けましょう。