建設業界で使用される請求書に「出来高請求書」という請求書が存在します。出来高請求書は、建設業界ではメジャーな書類ですが、業界以外の場合は出来高請求書を知らない方が多く、一般業者からみると「特殊な請求書ですね」と感じます。
今開業の準備を進めている方や、建設業界へ就職した方など「出来高請求書ってどうしたらいいの」と悩まれている方もいらっしゃると思います。出来高請求書はどのような請求書なのか、基本的な請求書の項目、請求書の作り方などをご紹介いたしますので、是非参考にしてください。
出来高請求書は主に建設業界で用いられている請求書のひとつです。一般的な請求書は購入した商品を1ヶ月にまとめて発行する場合や、1つの商品を購入した際に即時に発行されるなど、指定した金額を期日までに振り込んで貰うのが一般的ですが、出来高請求書は、どのくらい工事が進んでいるのかを基準にされて作成します。
建設業界では、このほかにもほかの請求書とは違う請求方法が用いられていますが、その中でも出来高請求書が最も柔軟に請求を行えるという特徴があります。
会社の規定によりさまざまですが、一般的な流れは
取引会社→【出来高明細書発行】→【出来高承認依頼】→【差し引きがある場合は差し引き確認】→【差し引きの承認】→【請求書発行】の流れで業務が進められています。
請求書を実際に発行するまでに、何度か取引先と発注者で確認作業が行われます。
出来高請求書を作成する前に、取引先との事前打ち合わせが必要となります。会社によって、請求書発行のタイミング、請求書の送付方法や支払日などを事前に確認しておく必要があります。
主に、確認しておくべき項目は
をしっかり確認しておく必要があります。会社によって、支払に関してや、請求書発行時の規定もありますので確認しておきましょう。
【工事名
工事の名称を記載します。建設業者によって工事名の付け方は違いますが、○○邸や○○工事などの工事名を記入しましょう。
【契約金額】
1件の工事に対して、契約した金額を記入しましょう。
【今回出来高金額】
現在の工事進行具合を基準にするため、今回出来高金額を記入しましょう。
【前回までの受領金額】
支払いが2回目以降の場合、前回請求した金額を合計していくらかを記入しましょう。
【累計出来高金額】
前回分と今回分の出来高を足して合計を出し記入しましょう。
【前回までの請求済金額】
前回支払い済の合計金額を記入しましょう。
【今回分の請求額】
今回分の請求金額を記載しましょう。
【残額】
今回請求分込みの残りの金額を記入しましょう。
【何%進行しているか記載】
それぞれ、金額の横に何%分の金額を記載しているか分かる様に%を記入しましょう。
【変更金額】
前回契約金額から、変更が出ている場合は、変更前の金額の記入をしましょう。
例)
契約金額:1,300,000
前回契約金額:1,200,000
変更金額:100,000
このように記載しておくとわかりやすいです。
*備考欄
備考欄には、注意事項がある場合や補足がある場合などに記載するようにしましょう。
出来高請求書には下記のような計算内容を記載しておくと、分かりやすいです。あくまで例ですが是非参考にしてください。
契約金額 :1,500,000
前回出来高金額:300,000 【20%】
今回出来高金額:750,000 【50%】
累計出来高金額:1,050,000【70%】
請求済金額 :300,000 【20%】
今回請求金額 :750,000 【50%】
残額 :450,000 【30%】
請求書内に、支払期限や支払口座などの詳細が分かるように記載しておくことをおすすめします。
例えばお家を建てる際に必要な部品の発注などを行った場合、1個あたりの部品代金を記載しなければいけません。その際に重要になるのが、単価金額と発注数です。単価×発注数=¥○○となるように記載しておくとわかりやすいです。
※単位を使用する場合は、単位間違いがないよう、厳重にチェックしておきましょう。
書類を発行する際に質問が多いのが、角印の必要性についてです。多くの会社は、会社の認印として利用していますが、法律的に角印は必須ではありません。
角印が無いからと言って請求書の効力の変化はありません。ですが、取引先によって、角印や書類作成者の押印を求められる場合があります。事前の打ち合わせ時などで聞いておきましょう。
それぞれ税込み・税抜きのどちらの金額かを記載しておきましょう。一般的には、単価は税抜きで記載し、それぞれ小計の後ろに消費税を記載するという形で作成されている事が多いです。
建設業界で良く使用される単位の㎡(平米)と?(立米)は表記が似ているため特に間違いやすいです。【これくらいの間違いならいいや】と放っておくと、トラブルが起きてしまったり、信用を失ってしまう事もありますので気を付けましょう。
請求書の作成方法で手書きでの作成は大丈夫なのか?という質問をよく耳にしますが、請求書の様式は法律で決められていないので、手書き作成でも可能です。専用の用紙が販売されているので、手書きで作成される場合は、そちらを購入して記入するのが一般的です。
手書きは、記入者の癖が出やすいため、読み間違いが無いように文字を正しく記入する必要があります。特に数字の癖は直さないといけません。「字が汚くて、内容と数字がわからない。」と言われない様に丁寧に記入していかないといけない為に、時間もかかります。手書きでの作成はあまりおすすめできません。